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令和4年12月定例会(第9日) 本文
令和4年12月定例会(第9日) 名簿

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  1. 福岡県議会 2022-12-09
    令和4年12月定例会(第9日) 本文


    取得元: 福岡県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-08
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(桐明 和久君) ただいまから本日の会議を開きます。  日程に従い一般質問を行います。順次発言を許可いたします。樋口明君。(拍手) *樋口議員質問 2 ◯五十六番(樋口 明君)登壇 皆さん、おはようございます。国際交流推進議員連盟会長自民党県議団、樋口明でございます。  通告に従い、まず初めに、ブラジル福岡県人会の今後の課題と対策について質問します。去る十月十七日から二十五日まで、私は、ブラジルサンパウロで行われたブラジル福岡県人移住百十周年及びブラジル福岡県人会創立九十周年記念式典に、自民党県議団松本会長の代理として参加いたしました。このたびのブラジル訪問は、この記念式典に参加することが主たる目的でありましたが、それと併せて、これまでに福岡県の訪問団が一度も訪れたことがなかったパラナ州のクリチバ市、ロンドリーナ市、アサイ市を訪問することも今回の訪問団の大事な目的でありました。サンパウロで行われた記念式典には、ブラジル福岡県人会の南会長をはじめ約三百名の県人会の方々が集われ、また来賓として在サンパウロ日本国総領事も出席され、式典は盛大に開催されました。福岡県人移住百十周年と県人会創立九十周年を現地の皆様と共にお祝いできたことは、私にとりましても大変幸せなことでありましたし、貴重な経験をさせていただきました。さて、我々のもう一つの目的でありましたパラナ州の訪問では、訪れたそれぞれの町で、県人会の皆様に歓迎会を開催していただきました。どの歓迎会も心温まるものであり、現地の皆様と交流できたことは、今回の訪問の大きな成果だったと考えています。  このブラジル訪問で私は、多くの県人会の皆様と意見交換をさせていただきました。その中で複数の方々から、今後の県人会の運営について憂慮しているとの話を伺いました。その内容ですが、現在、主力として県人会の運営を担われている方々がいずれ退かれ、次にバトンタッチしていくのは日系三世や四世になりますが、これらの世代では日本語を話せる人は少数になっているそうです。また、日本への関心も希薄になっているとのことでした。三世や四世の方々は、ブラジル人としてブラジルで生まれ育ったわけですから、日本への関心が希薄になっていても、それは仕方ないことかもしれません。しかし、次の世代がこのような状況では、県人会は先細りし、存続できなくなるのではないかと、その方は今後のことを心配されていました。  福岡県では、ブラジルをはじめ、海外県人会に係る事業として、県費留学生受入れ事業や、若い世代を福岡に招聘する県人会担い手育成事業などを行っています。これらの取組は、今後の県人会を引っ張っていく人材育成として大変有効だと考えます。その上で、現地で先ほどの話をお聞きし、私が感じたことは、日系ブラジル人の若い世代に対しては、福岡に関心を持ってもらうということよりも、まずは日本に関心を持ってもらうことから始めないといけないのではないかということです。  現在、県が行っている事業を県人会のコアな人材を育成することと捉えれば、私が今後県にやっていただきたいと考えていることは、日本ファンを増やすということだと思います。ブラジル福岡県人会では、若い世代に県人会に関心を持ってもらうためにいろんな企画をされているようで、例えば太鼓の練習会は若者に評判がよかったという話をされていました。日本にはアニメや漫画など、若者が関心を示しそうな世界的に秀でたコンテンツがあります。こういったものも活用しながら、福岡にゆかりのある若い日系ブラジル人の方々に日本をアピールしていくことが必要だと考えます。  そこで知事に質問です。現在、本県で行っている海外県人会向けの事業に加えて、先ほど私が申し上げましたブラジル福岡県人会の課題を踏まえ、現地の県人会と協力し、県人会の会員拡大につながる取組について検討していただきたいのですが、知事の考えをお聞かせください。  続きまして、踏切の遮断時間について質問します。私の地元である福岡市南区は、西鉄とJR九州の路線が走っており、交通の便がよく住みよい町です。先日、西鉄天神大牟田線の雑餉隈駅から下大利駅までの連続立体交差事業の高架化が完了しました。開かずの踏切と言われていた箇所での交通渋滞が解消されたことで、地域住民の方々も喜ばれていることと思います。  福岡市南区内の西鉄天神大牟田線の一部区間とJR九州鹿児島本線は高架にはなっておらず、両線路には踏切が複数か所存在します。具体的には、西鉄井尻駅とJR笹原駅の周辺エリアになりますが、時間帯によっては、この周辺の踏切付近交通渋滞が発生しており、地元からは高架を望む声もありますが、西鉄とJR九州の両者とも、この区間での高架の計画はされていないものと認識しています。十年以上前になりますが、この近くにある都市高速道路下の環状線が開通したことで車の流れが変わり、両駅付近の交通渋滞も多少は解消されましたが、今でも通勤時間帯は混雑しています。  ところで、私は、井尻駅と笹原駅の踏切で電車の通過待ちをしているときにいつも疑問に思うことがあります。それは、西鉄天神大牟田線JR九州鹿児島本線とでは、遮断機が下りている時間の長さが違うということです。そこで、どの程度違いがあるのか調べてみました。私が調査した箇所は、西鉄井尻駅横の踏切とJR笹原駅横の踏切で、どちらも普通列車が通過したときを対象としました。その結果、上り列車で約二十秒、下り列車で約一分、JR笹原駅横の踏切のほうが長く遮断機が下りていることが分かりました。  そこで知事に質問です。踏切の遮断機が下りている時間の長さはどのような基準で決まるのでしょうか、お答えください。また、西鉄井尻駅横の踏切とJR笹原駅横の踏切とでは、上下線で約二十秒、約一分と遮断機が下りている時間の差があったのですが、どうしてこのような時間差が生じるのでしょうか、お答えください。  先日、私は、笹原駅の踏切で電車の通過待ちをしていたところ、遮断機がなかなか上がらない状況にしびれを切らした人が踏切に進入し、横断したところを目撃しました。  そこで知事に質問です。JR笹原駅横の踏切の遮断時間を西鉄井尻駅横のそれと同程度にすることはできないのでしょうか。遮断時間が短くなれば、交通渋滞の緩和につながると考えますし、遮断機が下りているときの人の危険な進入も減るのではないでしょうか。JR笹原駅横の踏切の遮断時間の短縮について調査、検討していただきたいのですが、知事の考えをお聞かせください。  以上、よろしくお願いいたします。(拍手) 3 ◯議長(桐明 和久君) 服部知事。 *知事答弁 4 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 皆さん、おはようございます。御答弁を申し上げます。  まず、海外県人会会員拡大につながる取組についてお尋ねがございました。海外県人会の活動を継続し、活性化させていくためには、日系三世、四世といった若い世代の皆さんが県人会に参加し、担い手となっていただくことが重要でございます。私も先月、ペルー・リマで開催をされました海外県人会世界大会に参加いたしました際に、若い世代が日本語を話せなくなっている、日本との関わりが薄れているといった課題をお聞きしたところでございます。また、同大会では、各県人会の青年代表による会議も行われまして、アニメや音楽など興味のあるテーマを取り上げてインターネットで動画などを発信したところ、若い世代が県人会に参加するきっかけとなったという報告もございました。
     県では、一昨年度から新たにオンラインによる日本語教室を実施しておりまして、これまで延べ二百三十九名の各国の子供たちが受講いたしました。この教室では、日本の四季の風物詩や福岡の魅力について紹介する日本文化の授業も実施をしておりまして、世界大会に参加した各県人会からは、日本語を学べるだけでなく、日本のことを知りたいという意欲につながっていると大変好評でございます。今後、アニメや漫画なども題材といたしまして、その内容を充実させることにより、日本語教室の参加者を広げますとともに、若い世代の日本、そして福岡県への関心を高めますことで、県人会の会員拡大につなげるよう努めてまいります。  次に、踏切の遮断時間についてお尋ねがございました。この鉄道の踏切に関しましては、鉄道営業法に基づき、技術上の基準を定めます省令によりまして、通行する人及び自動車等の安全かつ円滑な通行に配慮するよう定められております。その上で、警報開始から遮断機が下りて列車が踏切に到達するまでの時間につきましては、省令の解釈基準において標準的な時間が明記されております。一方で、列車が踏切を通過し、遮断機が上がるまでの時間につきましては、解釈基準には定められておりませんが、各鉄道会社におきましては、先ほど述べましたような省令の趣旨を踏まえて遮断時間を決定しているものと考えております。  JR笹原駅横の踏切の遮断時間の短縮についてでございます。地域における交通に関する様々な要望につきましては、県、市町村、経済団体などで構成いたします福岡県地域交通体系整備促進協議会において協議をし、必要に応じ、交通事業者へ要望を行っております。議員からただいま御指摘がありましたことにつきましては、まずは地元であり、また道路管理者でもございます福岡市に伝え、市の意向を確認したいと考えております。 5 ◯議長(桐明 和久君) 樋口明君。 6 ◯五十六番(樋口 明君)登壇 踏切の遮断時間について、意見と要望をさせていただきます。まず、意見についてですが、上り列車の二十秒差はそういうこともあるだろうと思いますが、下り列車の一分というのはちょっと差があり過ぎじゃないかと思います。両方を比較して、西鉄は、電車が駅のホームに入ってきてから警報が鳴り始めましたが、一方、JRは、電車が駅のホームに入る前から警報が鳴っていました。なぜこのような違いがあるのかが疑問なんです。西鉄電車は安全に運行されていますので、JRも同じようにできないものかと考えてしまいます。  次に、要望ですが、踏切の遮断時間について、私の地元の駅を例に出しましたが、このことは私の地元に限った話ではないと考えます。この点を踏まえていただいて、この問題に取り組んでいただきたいと思います。福岡市の意向を確認していただくことはぜひやっていただきたいと思いますが、県としても調査していただければと思います。  以上、意見と要望をし、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 7 ◯議長(桐明 和久君) 中村香月君。(拍手) *中村(香)議員質問 8 ◯七番(中村 香月君)登壇 皆様、おはようございます。民主県政クラブ県議団中村香月です。本日は、私の地元の後援会女性部の方々がたくさん傍聴にお越しいただいておりますので、いつにも増して知事の積極的な御答弁を期待します。それでは通告に従い、本県の空き家対策及び病児・病後児保育の推進、この二つのテーマについて議論をさせていただきます。  まずは、本県の空き家対策について伺います。さて、本県も例外なく人口減少社会を迎え、空き家が増加傾向にあります。空き家は、適切な管理がなされていないまま放置されると、防災、防犯、衛生、景観等、国民の生活環境に深刻な影響を及ぼします。  平成三十年に総務省が実施した住宅・土地統計調査によると、本県の空き家は、約三十三万戸のうち、賃貸用や売買等を除いた利活用がされていない空き家は約十三万戸とあります。この調査は五年ごとに実施をされているのですが、このように利活用されていない空き家の件数は年々増加傾向にあり、私が住む久留米市でも、平成二十年に五千五十戸、平成二十五年に五千三百三十戸、平成三十年に五千五百三十戸と増加し続けています。この増え続ける空き家、中でも適切な管理が行われず、老朽化した危険な空き家に対する施策を推進するため、国は、平成二十六年に空家等対策の推進に関する特別措置法を制定し、それに基づき、各市町村の空き家等対策計画が進められてきました。空き家対策は、空き家を解消するだけの対策では不十分で、空き家を除去した後の空き地が低未利用地とならぬよう、空き家を既存住宅として流通させ、そこに新たな住民が居住する可能性を求めて、都市のスポンジ化を抑制する効果を高めることが必要です。つまり空き家の増加を抑制するためには、空き家の利活用が重要な課題になってまいります。  そこで、本県では空き家の利活用を推進するために、福岡県宅地建物取引業協会及び全日本不動産協会福岡県本部と連携し、それぞれの不動産情報サイトに各市町村が有する空き家情報を集約した福岡県空き家バンクを開設しています。実際にこの福岡県空き家バンクの掲載数を見ると、十一月末現在でそれぞれ三十四件、三十三件の合計六十七件となっています。市町村の空き家バンク掲載数は総数で四百九十件あるため、僅か一四%程度の情報しかこの福岡県版空き家バンクには集約されていません。  そこで知事にお伺いいたします。この福岡県版空き家バンクの開設の目的を改めてきちんとお示しいただいた上で、現在の集約が進まない理由と、それに対して今後どのように取り組んでいかれるつもりなのか、知事の考えをお聞かせください。  また、本県では空き家の活用、処分と空き家の発生抑制を図るため、福岡県空き家活用サポートセンター愛称イエカツ福岡天神のアクロス内に設置しています。イエカツは、専門知識を有する相談員が、空き家の所有者等に対する相談対応から、その活用、処分の具体的な提案、さらには専門業者とのマッチングまでをワンストップで対応するものであり、全国を見ても先進事例だと思います。令和二年十月の設置から約二年がたち、相談件数が十一月末で千百十四件であって、マッチした件数が百八件あるようで、実績も示しつつあります。私は、本県において、このイエカツをしっかり周知していただき、十分活用してもらってこそ、空き家市場の活性化の近道になると考えています。今後のイエカツの周知、活用について、知事の考えをお聞かせください。  さて、著しい管理不足の空き家を特定空き家等と指定して、除却等一定の成果を上げてきた市町村を、まず県は評価すべきであると考えます。しかしながら、空き家総数から見ると、結局のところ低い割合にとどまっているのが現実です。これまで述べてきました流通の促進は必要ですが、根本的な空き家対策には十分でないように思えてなりません。それは、何といってもそもそもの世帯数と実際の住宅数の乖離が大き過ぎることです。そして、その乖離は、今後、急速、大幅に拡大する予測が立てられており、ますます空き家が増えると思われます。  また、現状の空き家問題では、戸建て住宅が念頭に置かれていますが、今日の住宅着工数に占めるマンション戸数の割合の高さを見ても、今後は集合住宅、特に分譲マンションの空き家住戸問題の大量発生も予想されます。本県におかれましては、これらを含めた空き家対策を講じていただくことを要望いたしまして、次のテーマに進みます。  次に、病児・病後児保育の推進についてお尋ねいたします。我が国の共働き世帯数は年々上昇しており、二〇二一年の総務省統計局労働力調査によれば、共働き世帯は千二百四十七万世帯で、農林業雇用者を省く全勤労者世帯の約七割を占めています。このように共働き世帯が多い我が国で、急に子供が体調を崩し、保護者も仕事を休めないなど看護を行えないときに、病気の子供を一時的に預かってケアしてくれる病児・病後児保育は、子供を安心して産み育てることができる社会づくりに大きく寄与するものと考えます。  本県の病児・病後児保育施設は、令和四年四月一日時点で八十施設ありますが、市町村で偏りがあり、病児・病後児保育施設がある市町村は六十市町村中三十六市町村にとどまっています。基本的に、病児・病後児保育施設は設置している市町村しか利用できないことが多く、本県は、これまで病児・病後児保育事業を実施していない市町村の解消に向けて、近隣の市町村との利用協定の締結を働きかけてこられました。その結果、五十九市町村が病児・病後児保育を利用できるようになり、いよいよ来年四月には全ての市町村の方々が病児・病後児保育事業を利用できる見込みです。  しかし、一方で、協定外の地域であるが、居住地や近隣の市町村ではなく、職場に近い施設に預けたい、近くの施設が満員で協定外の他の市町村を利用したいという保護者の方のお話も聞こえてきます。さらに、協定外の地域で受入れが可能でも、預ける際は料金が割高になったりすることもあります。山梨、岡山、山口、大分県では、県内全域での広域受入れを実施しており、県内全ての病児・病後児保育施設が利用でき、さらに全ての施設において市内と市外の利用者の料金を同じにしています。  そこで知事にお伺いいたします。共働きも多い本県におきまして、仕事と家庭の両立支援を進めていくためには、本県も県内全域での広域受入れを進めていくべきではないかと考えますが、知事の見解をお聞かせください。  次に、病児・病後児保育の利用促進についてお尋ねします。内閣府の調査によると、全国の病児保育施設の利用率は約三〇%となっています。実際に病児・病後児施設を利用する際、以下の手順で進められます。子供の体調不良があり、病児・病後児保育施設を探し、開園時間を待って空き状況を電話で確認、いっぱいであれば次の施設を探し、空きがあればそこで予約するといったものです。この使いづらさも利用率の低さの一つと考えられます。既に幾つかの自治体では予約システムを導入しており、施設のスタッフにとっても、当日の予約やキャンセル対応の事務手続に追われず保育に専念ができています。  本県でも病児保育支援システムの導入を予定されていますが、具体的にどのようなことができ、いつから利用開始するのか、また県民の利活用を高めるためにどのような周知方法を取られるのか、知事の考えをお聞きします。  さらに、児童を預ける際、保護者は病児保育利用登録票を紙で病児保育施設に提出する必要があります。せっかくオンラインシステムを導入するのであれば、この登録票の紙での手続もオンラインで可能になれば、保護者にとっては登録から予約までをワンストップでできる使いやすいものになると思います。しかし、そこでネックになるのが、本県の病児保育利用登録票の様式が自治体ごとに違うことです。  そこで知事にお伺いします。病児保育を利用しやすいものにするため、病児保育利用登録票の様式を県内統一、そしてオンライン化を進めていくべきと考えますが、知事の考えをお伺いいたします。  最後に、病児・病後児保育事業の拡大に関してお尋ねいたします。本県は、前述したとおり、これまで全ての市町村で病児・病後児保育を受けれるよう、広域化に向けて様々な取組を実施してまいりました。今後は、広域受入れの拡大を進めつつ、かつ県内八十か所しかない病児保育施設の数をさらに増やしていくことが必要です。  現状、病児保育事業が広がらない理由として、経済的に成り立たないことが挙げられています。厚生労働省の報告によると、全体の六割以上の施設が赤字経営となっています。病児保育事業の収入の多くは利用者に対する自治体からの補助金ですが、急なキャンセルで空きが出た場合は、予定していた看護師、保育士を施設側が負担することになります。人件費が負担の多くを占める一方、病児・病後児保育は、児童十人につき一人以上の看護師の配置、児童三人につき一人以上の保育士の双方を配置する必要があります。利用児童の数は常に変動するものの、十分に対応できるだけの職員配置が必須となってきます。そのため、採算性が不透明で赤字経営になる可能性が高いことから、新規参入が難しく、普及が進まないのが実態です。  兵庫県では、病児・病後児保育事業を推進するため、二〇一五年から二〇二一年まで、職員の配置基準国庫補助の要件より緩和した県独自の病児保育施設を設置する診療所型小規模病児保育事業を創設、推進した結果、三か所の病児・病後児保育施設が設置されました。  そこで知事に伺います。現在の補助金では赤字経営の可能性が高く、病児・病後児保育数の拡大は非常に困難だと考えます。仕事と子育ての両立の環境を整えていくには、本県も県独自の財源を含めた事業所の創意工夫を後押しする対策の強化が必要と考えますが、知事の考えをお聞きいたします。  最後に、子育て等に関する県民意識調査の結果を見ますと、結婚したいと思う人が結婚するために必要な要素は、子育てと仕事の両立ができる環境が大きなウエートを占めていることが分かります。現在の子育て現役はもちろんのこと、これから結婚、子育てを考えていく世代にも希望を持てる知事の答弁を期待いたします。(拍手) 9 ◯議長(桐明 和久君) 服部知事。 *知事答弁 10 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁申し上げます。  まず、福岡県版空き家バンクの開設目的、集約が進まない理由と今後の取組についてお尋ねがございました。県版の空き家バンクは、市町村が個々に開設をしております空き家バンク物件情報を、宅建事業者団体との連携の下で、効率よく、横断的に検索できるよう集約をしたものでございます。その仕組みといたしましては、県版空き家バンクは、宅建事業者団体不動産検索サイト内に設置されておりまして、まず市町村が空き家物件の情報を宅建事業者に提供し、次に提供を受けたこの宅建事業者県版空き家バンクにその情報を登録することによりまして閲覧できるようになるところでございます。  この集約が進まない理由といたしましては、まず他の市町村の物件情報と比較されたり検討されることを望まない市町村が約半数ございます。また、宅建事業者登録手順に対する認識不足理解不足などによりまして、県版空き家バンクへの登録が行われていないケースがあること、こういったことが挙げられます。今後、市町村に対しましては、担当課長会議などにおいて県版空き家バンクに関する周知を引き続き行いますとともに、他の市町村との比較検討を望まない市町村に対しましては、意見交換を行い、理解を求めてまいります。また、宅建事業者に対しては、事業者団体と連携をいたしまして、物件登録の手順などについてさらなる周知を行い、県版空き家バンクへの登録件数を増やし、空き家の利活用促進につなげてまいります。  次に、福岡県空き家活用サポートセンター、いわゆるイエカツの今後の周知、活用についてでございます。これまでこのイエカツを県民の皆様方に活用していただきますために、県や市町村の広報紙、またホームページ、さらには新聞や公共交通機関での広告などを活用しまして広く周知を図っております。また、市町村と連携をしまして、県内各地で空き家所有者向けのセミナーや出張相談会を実施いたしますとともに、市町村の固定資産税納税通知書にイエカツに関するチラシを同封していただきますなど、空き家所有者に対しましても直接周知を行っております。今後もこのような取組を行うことで、イエカツの周知、活用を図ってまいります。  次に、病児・病後児保育の広域化拡大に関する見解と今後の取組についてでございます。病児・病後児保育は、共働き世帯や一人親世帯の方々が安心して子育てを行っていただくための重要なセーフティーネットであり、県内どの市町村に住んでいても、必要なときに病児・病後児保育を利用できるよう、広域化を図ることは重要な取組であると認識しております。これまで県では、病児・病後児保育施設を利用できない市町村を解消いたしますため、市町村間の相互利用協定の締結に取り組んできておりまして、昨年度は田川市郡一市七町及び小郡市、筑前町間の協定が成立をいたしました。この結果、六十市町村中五十九の市町村の住民の皆様が病児・病後児保育を利用できるようになりました。今年度は、市町村や病児・病後児保育施設への意向調査を行いました結果を踏まえ、既に協定を締結しております市町村グループ同士のさらなる広域利用協定の締結を三つの地域で進めているところでございます。今後とも、市町村はじめ関係者と協議しながら、広域協定の拡大を図りまして、利用したい地域で病児・病後児保育の利用ができる環境を目指してまいります。  病児保育支援システムの導入及び周知方法についてお尋ねがございました。現在県で構築を進めておりますシステムは、病児・病後児保育の利用者にとりましては、利用可能な施設の検索、空き状況の確認、利用の申込みをウェブ上で行うことが二十四時間いつでも可能となりまして、利便性向上が期待できます。また、施設側にとりましては、利用の申込みに対しまして、ウェブ上で申込み児童の病状などを確認し、受入れの判断も可能となりますため、これまで電話で申込みを受け付けていた施設にとりまして、事務負担の軽減を図ることができます。本システムの利用開始は、来年の一月下旬を予定しております。周知方法といたしましては、利用案内チラシを作成し、保育所や病児・病後児保育施設等に配架いたしますほか、市町村の広報紙への掲載、県のホームページ、SNS、広報テレビを活用いたしまして積極的に広報してまいります。  病児保育利用登録票の統一及びオンライン化についてでございます。病児・病後児保育の利用に当たりましては、児童の既往歴やアレルギーの状況、予防接種の状況などにつきまして、施設を利用する前に登録を行う必要がありますが、この申請様式は市町村ごとに様式が異なっております。このため、広域利用のためには、それぞれの市町村に対し作成する必要があり、住民の方にとって負担が生じております。今回、県が構築中のシステムを利用するためには、アカウントを登録する必要がございます。その登録情報と市町村の利用登録情報の多くは重複することとなります。利用登録の様式統一及びオンライン化につきましては、アカウント登録をすることによりまして、市町村の利用登録を省略することができるような運用を検討するなど、今後、課題を調査した上で市町村と協議を行ってまいります。  病児・病後児保育事業への県独自の対策についてでございます。県では全国知事会を通じ、国に対しまして、病児・病後児保育事業の安定的運営に必要な基本分単価の増額を要望してまいりました。その結果、昨年度から補助制度の見直しが行われ、補助基準額の充実が図られたところでございます。また、今回の県によるシステム導入によりまして、施設の事務負担の軽減や稼働率の向上が見込まれまして、病児・病後児保育事業の運営の安定や新たな施設の増加が期待されます。こうした取組が施設の運営にどう影響を及ぼすか、今後、実態を把握してまいりたいと考えております。 11 ◯議長(桐明 和久君) 中村香月君。 12 ◯七番(中村 香月君)登壇 一点、要望をいたします。病児・病後児保育事業の県独自の対策に関して、知事は、昨年度からの補助基準額の充実と今回のシステム導入による運営の安定を期待することから、今後どのような影響を及ぼすか実態を把握してまいると御答弁をいただきました。補助事業の充実が図られた昨年度と本年度を比べると、病児・病後児保育施設の数は増加しておりません。子供を安心して産み育てることができる社会づくりのため、今後しっかりと運営の実態把握をしていただき、必要に応じて、再度国への要望もしくは県独自の対策などを講じていただきますよう要望いたしまして、私の一般質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 13 ◯議長(桐明 和久君) 吉武邦彦君。(拍手) *吉武議員質問 14 ◯三十二番(吉武 邦彦君)登壇 皆さん、お疲れさまです。食と緑を守る緑友会福岡県議団の吉武邦彦でございます。私は、これまでも平成二十三年九月議会及び平成二十五年十二月議会の一般質問において、県立少年自然の家玄海の家の管理運営や機能充実等について、県教育委員会に対して質問させていただきました。本日は、玄海の家の今後について質問したいと思います。  玄海の家は、私の地元宗像市の神湊にある海浜型の青少年教育施設でございます。白く広がる砂浜と青々とした雄大な玄界灘、美しい緑が連なるさつき松原に囲まれたすばらしい自然環境の中にあり、正面玄関から駐車場を抜けますと、徒歩で一分もかからずに砂浜に到着することができます。天気がよければ、施設の屋上から地島や宗像市が誇る世界遺産「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群を構成する大島を一望することができ、さらには連日観光客でにぎわう道の駅むなかたと隣接しているなど、ぜひ県民の皆さんに一度は訪れていただきたい施設だと思っております。  玄海の家は、昭和四十九年に開所して以来、その立地を生かした海洋体験など様々な体験活動を子供たちに提供してまいりました。地元宗像市のみならず、県内全域のたくさんの子供たちに利用され、愛されてきた施設であります。私も少年時代には、仲間と共に自然の中で遊び、たくさんの自然体験をすることで、生きる力を育み、海の大切さを学び、自分自身成長することができたと感じております。昔と比べて子供たちの体験活動が不足していると言われている今、様々な自然体験活動を提供している玄海の家は非常に意義のある重要な施設であると思っております。  しかしながら、先日、少年自然の家などの青少年育成施設の廃止が全国的に広がっているとのマスコミ報道がありました。文部科学省の資料によれば、少年自然の家と宿泊型の青年の家だけで、この二十年間で二百五十施設以上、約四割の施設が廃止されたとのことであり、非常に衝撃を受けております。施設が減少している大きな理由といたしましては、少子化による利用者数の減少や建物の老朽化が考えられているようです。  玄海の家については、この十年間の利用者数の推移を見ますと、平成二十四年度は約四万七千人だったのが、平成三十年度には約五万六千人となっており、新型コロナウイルス感染症拡大前までは着実に増加していました。しかし、新型コロナウイルス感染拡大後については、施設自体の利用中止や利用団体からの相次ぐキャンセルなどの影響を受けて、令和二年度には約七千六百人まで減少しました。令和三年度については約一万五千人となっており、少しずつ回復しているものの、まだコロナ禍前には戻っていない状況であります。言い換えれば、それだけ子供たちに十分な体験活動を提供できていないということにもなります。子供たちが元気いっぱいに活動する姿を見ることができないのは非常に残念でありますし、憂えているところでもあります。そのような状況の中、これまでも玄海の家においては、主催事業や体験活動プログラムの充実、地元宗像市との連携、SNSを活用した情報発信など様々な利用促進策に取り組んでこられたと思います。  そこで質問ですが、子供たちが躍動する姿や笑顔が再び玄海の家にあふれるよう、コロナ禍からの回復に向けて、利用者数を増やすためにどのように取り組んでいこうと考えているのか、教育長にお聞きいたします。  私は、この玄海の家は、施設が設置された当初の目的を忘れることなく、これからの福岡県を担っていく子供たちの健全な育成を図るためにも、ぜひとも存続させていくべき施設であると強く感じております。子供真ん中社会を目指していくためには、たくさんの子供たちが宗像の大自然の中で、日頃味わえないような体験、経験をし、環境や海の大切さを学び、地域とのつながりを感じ、将来の思い出をつくり、たくましく育っていくための人間形成の一助となってほしいと強く思っております。教育長も同じ思いであると心から信じております。  そこで、最後に教育長にお尋ねいたします。玄海の家は、子供たちの健全な育成を図るためにも、今後も存続させるべき施設であると思いますが、施設の今後についてどのように考えているのかお尋ねして、質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 15 ◯議長(桐明 和久君) 吉田教育長。 *教育長答弁 16 ◯教育長(吉田 法稔君)登壇 玄海の家の利用促進のための取組についてでございます。施設の利用に当たりましては、これまで原則十人以上の団体で宿泊を伴うことを条件としておりましたが、コロナ禍でも利用できるよう、昨年度からこれを緩和し、少人数や日帰りの利用を可能としたところでございます。今後さらに、家族単位での野外キャンプ、流木や貝殻を使ったクラフト活動など、少人数利用に対応した活動プログラムを充実させてまいります。また、従来のホームページやチラシの配布などによる広報活動に加え、新たにユーチューブやインスタグラムを開設し、SNSを活用した情報発信も始めたところでございます。今後は、施設の職員を学校や地域に派遣し、テントの立て方や火おこしなどの野外活動を幅広く体験してもらうことで、玄海の家の活動内容に対する理解を深め、さらなる利用促進を図ってまいりたいと考えております。  玄海の家の今後についてでございます。玄海の家では、その立地を生かし、海洋カヌーや地引き網体験など、通常では経験できない様々な体験活動を子供たちに提供しております。また、宗像市等と連携し、海の環境問題や世界遺産等について学ぶむなかたSDGs教室を実施をしているところでもございます。体験活動は人づくりの原点であり、こうした様々な活動を通して、コミュニケーション能力や自立心、チャレンジ精神など、予測困難なこれからの時代に求められる力が育まれるものと考えております。特に、少子化やデジタル化等が進む状況にあっては、リアルな体験活動の重要性が一層増しております。玄海の家につきましては、今後ともこうした必要とされる自然体験活動の拠点として、たくさんの子供たちに質の高い活動プログラムを提供してまいります。 17 ◯議長(桐明 和久君) 西尾耕治君。(拍手) *西尾議員質問 18 ◯三十三番(西尾 耕治君)登壇 公明党の西尾でございます。それでは、通告に従い、eスポーツの多目的な活用について質問いたします。  知事はeスポーツを御存じでしょうか。eスポーツとは、コンピューターゲームをスポーツ競技と捉えたエレクトロニック・スポーツです。電子競技とも言われております。二〇一七年の調査では、eスポーツの競技者は世界で約三億五千万人と言われております。我が国においても競技者が年々増加しています。今後は、オリンピックの競技としても検討されていることは御存じかと思います。二〇二四年パリ・オリンピック組織委員会は、オリンピックと若い世代との関係性を保つため、eスポーツの必要性を認め、今後、競技として採用する動きを加速させています。今後の動向を注視していきたいと思っております。  もちろんのことですが、eスポーツは体を動かすだけではなく、頭も当然使うことが大きいことから、文化的な側面もあります。また、アニメオタクと自称する人たちが六百八十五万人も国内にいると言われる、アニメをはじめとしたサブカルチャーがeスポーツとはたくさんの接点があり、日本アニメの世界レベルでの人気の高さを考えると、今後の世界経済の動向にも大いに関係してくると思います。経済とeスポーツという、一見するとアシンメトリーとも思えるアンバランスな感覚ではありますが、むしろこの二つの事象を掛け合わせることで、その化学反応の結果から面白いものが生み出されるような期待も持てます。また、実際に吉本興業、エイベックスやNTT東日本・西日本などの著名な企業がこの分野に乗り込んできている事実を見ると、経済効果が十分に見込まれるとも想像できます。  そこでまず初めに、県内におけるeスポーツの活動状況と現在の県の関わり、及びその経済的効果などについて知事にお尋ねいたします。  次に、eスポーツと人口減少下における人材確保の関係についてです。現在、全国的には人口減少傾向にあるとともに、生産人口が減少していることにより、人手不足が深刻化しています。我が国の人口は、二〇〇八年に約一億二千万人をピークに、二〇一一年以降は減少が続いております。また、この傾向は将来にわたって継続することが見込まれており、世界全体の人口が増加するにもかかわらず、日本の人口は、先進国の中でも特に減少が著しいこととなっています。  本県においても同様のことが考えられます。特に、雇用を担う約八割の企業は中小企業です。この中小企業は、本県の経済発展の原動力であることは言うまでもありません。中小企業における雇用環境は、生産人口の減少や大卒予定者や転職者の大企業志向などにより、人手不足が深刻化しています。さらに、産業構造の変化に伴い、中小企業の中でも、産業や職種によっては人手不足が事業継続を困難なものとしております。このように、中小企業の経営者は先行きに大きな不安を持っています。  一方、eスポーツのゲームでは素早い反射神経などが要求されることから、選手としての最盛期は二十歳前後と言われており、選手生命が短く、二十代前半には引退する例が多くなっております。また、こうして若くして引退した選手は、その後の職業人生を送る上で、その能力の強み以外は必要な社会的スキルに乏しいとの見方もされております。  そこで知事にお伺いします。eスポーツ選手として腕を磨いてきた若者が引退後に中小企業で活躍することは、人手不足が深刻な中小企業における人材の確保にも資するものであると考えますが、県として、eスポーツ引退後の若者と中小企業を結びつけるためにどのように取り組んでいくお考えなのかお伺いします。  次に、eスポーツと障がい者、障がい者施設との関連、さらにはeスポーツと高齢者の認知症予防についてであります。先日、福岡市内の複数の障がい者施設の間で、eスポーツを使って対戦型のデジタルゲームで交流を行ったとのニュースがありました。その施設によると、ゲーム活動を通して、知的障がいのある利用者に変化が現れ、集団になじめなかった該当者が仲間の輪の中に入っていくようになったり、利用者同士のコミュニケーションが増えたとの内容でした。関係者によると、このような盛り上がりを見せるとは予想外だったとのことで、今後もさらに展開していきたいとのことでした。また、世代間や性別も超えて参加可能なeスポーツは、高齢者の認知症予防を見据えて、大学機関による実験も現実に進んでいるとの情報もあります。今では、健康eスポーツ、シルバーeスポーツという言葉もあるほどであります。  栃木県小山市では、高齢者のフレイルを予防し、健康づくりに役立てるための、eスポーツを活用した高齢者向けの講座を開催しています。そこには、高齢者の認知機能向上や社会参加を促していくといった目的があるようです。もちろん高難度のゲームではなく、簡単な種類のゲームでも十分に効果はあると見ています。施設の担当者からは、将来的には、施設の高齢者と自宅にいるお子さんやお孫さんと、eスポーツを通してオンライン交流を実現していきたいとのコメントもありました。  そこで、本県として、今後、障がいのある方の社会参加やコミュニティーの形成、高齢の方の認知症予防施策として、このeスポーツが活用できるのか、検討が必要ではないかと考えますが、知事の見解をお尋ねいたします。  このように、多くの可能性が期待できるeスポーツを、これからの県における多目的な活用を考えた場合には、この分野の人材の育成は重要であると認識いたします。また、予算確保のためには、国の動向を見極めながら、法的位置づけも必要になってくると思います。様々な課題があるとは思いますが、時代の大きな流れを考えると、このeスポーツの多目的な活用はますます重要になってくると確信いたします。知事及び執行部におかれましては、先駆的に取り組んでいかれることを強く望み、私の一般質問を終わります。  御清聴どうもありがとうございます。(拍手) 19 ◯議長(桐明 和久君) 服部知事。 *知事答弁 20 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。  本県内におけるeスポーツの状況についてでございます。県内では、エボジャパンや福岡eスポーツフェスタなど大規模な大会が開催をされまして、若者を中心に盛り上がりを見せております。専用施設やプロチームの設立も相次ぐほか、クラブ活動の一環としてeスポーツに取り組む高校も出てきております。このeスポーツは、文部科学省スポーツ庁から審議依頼を受けました日本学術会議におきまして、幅広い年齢層や多様な人々のスポーツ参加を促し、新たな価値の提供につながると明確に評価するなど、新しい形態のスポーツとして社会的に認知されつつあります。このため県におきましても、全国高校対抗eスポーツ大会など全国規模の大会につきましては、国と共に後援を行い、広報面で協力をしているところでございます。民間のシンクタンクによりますと、世界におけるeスポーツイベントの市場規模は、令和三年度の一千七十億円から令和六年度には約一千八百億円へ伸び、また、観戦・視聴者数も約四億七千万人から約五億八千万人へ増加すると予想されており、イベントは集客力もあり、にぎわい創出に寄与するものと期待をしているところでございます。  eスポーツ選手を引退した若者の就職支援についてでございます。県内企業への就職を希望する選手の皆様につきましては、県の若者就職支援センターをぜひ御利用いただきたいと考えております。このセンターでは、きめ細かな個別の就職相談や、自己分析、また面接対策のセミナー、県内求人の紹介のほか、就職後のフォローアップ支援も行っております。また、合同会社説明会によります求職者と企業の出会いの場の提供に加えまして、今年度から、新たに県内企業の魅力をPRする場として、オンラインによる座談会も実施をしておりまして、若者の就職と企業の採用を応援をしております。県としては、こうした支援につきまして選手の皆様に知っていただくことができますよう、eスポーツチームなどを通じて周知を図りますとともに、引退された方に対しましては、これまでのキャリアを通じて得たスキルや経験を踏まえた就職支援を行いまして、中小企業をはじめとする県内企業とのマッチングを進めてまいります。  障がいのある方へのeスポーツの活用についてでございます。eスポーツは、障がいのある方が障がいの種別や程度に制約されることなく、広く参加でき、楽しみながら様々な方と交流できますことから、障がいのある方の社会参加につながるものでございます。このため県内では、障がい福祉サービス事業所や障がい者団体において、就労のための訓練や交流イベントに活用されているところでございます。  次に、高齢者の認知症予防施策としてのeスポーツの活用についてでございますが、県内では、産学連携の共同研究事業体と豊前市とがeスポーツいきがい研究事業の包括連携に関する協定を締結しまして、高齢者の認知症予防についての調査研究が行われているところでございます。この調査は、第二次調査まで終了しておりますが、集まったデータは残念ながら少なく、また第三次調査は、新型コロナの影響で実施時期がいまだ未定となっております。まずは、これらの取組や、この調査研究の動向というものを注視してまいりたいと考えております。 21 ◯議長(桐明 和久君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後一時二十分といたします。           午 後 零 時  五 分  休 憩           午 後 一 時  十一分  再 開 22 ◯副議長(井上 博隆君) 再開いたします。  休憩前に引き続き一般質問を行います。順次発言を許可いたします。野原隆士君。(拍手) *野原議員質問 23 ◯四十九番(野原 隆士君)登壇 自民党県議団の野原隆士です。  まず初めに、十一月に開催されましたアジア獣医師会連合(FAVA)福岡大会では、福岡県議会、福岡県の御協力を賜り、国内外から約二千人の方にお集まりいただき、無事、成功裏に終えることができました。県議会各会派の代表の皆様、服部知事をはじめとする県関係者の皆様に心から感謝を申し上げます。ありがとうございました。  この大会の前に開かれたFAVAの役員会では、アジア・オセアニア諸国の獣医師会の代表の皆様の満場一致により、日本獣医師会会長であり、本県の県議会議員である藏内勇夫会長がアジア獣医師会連合の会長に就任されました。特に各国の皆様からは、本県でのワンヘルスの様々な取組、とりわけワンヘルス教育やワンヘルスセンターの設置などについて高く評価をしていただきました。服部県知事の県政の柱の一つであるワンヘルスの推進を今後も展開していただくようお願い申し上げます。  それでは質問に入らせていただきます。  命の大切さについての教育とコミュニティースクールについてです。近年、幼児の虐待死に関する報道が幾つもあり、大きな社会問題となっています。社会的孤立や貧困などが背景にあるとは思われますが、一方で、当事者たちの社会的、経済的な自立、つまり大人になるための準備や、親になるための心構えや計画性が十分であったかなど課題と感じざるを得ません。また、十月末には文部科学省の児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果が公表されましたが、これによれば、昨年度の本県の公立小中学校における暴力行為の件数は、前年度から四百四十件増の千四百五十八件、いじめの認知件数は二千二百九十三件増の一万二千九百二十一件となっております。このようなことが起きるのは、命の大切さや他者への思いやりの意識が希薄化しているからだと思われます。  小さな子供の笑顔を見て、かわいい、いとおしいと思うのは普通ですが、その感情さえ芽生えないという人もいると聞いております。大人になってから、親になってから、幾ら命の大切さや他者への思いやりを教えても不十分です。やはり、子供のときからの教育が必要であります。特に、自分の子供を慈しむ心をしっかりと持つためには、他人をかけがえのない存在として尊重することが大事だと思います。そのためには、家庭や学校でしっかりと命の大切さや他者への思いやりを教えていくことが重要です。  本県では、福岡県ワンヘルス推進基本条例の制定や福岡県ワンヘルス推進行動計画など、全国に先駆けてワンヘルスの推進に取り組んでいますが、ワンヘルスの理念は、命の大切さを認識することにもつながります。ワンヘルスの柱の一つには、人と動物の共生社会づくりがあり、動物との触れ合いの中で命の大切さを学ぶことができます。  そこで教育長にお伺いします。子供たちに命の大切さ、自他を尊重する心を育成するための取組について、特に命の大切さを育むに当たっては、小学校のうちから体験活動を伴った教育が必要ではないかと考えますが、教育長のお考えはいかがでしょうか。  次に、コミュニティースクールについてです。来年四月には待望のこども家庭庁が設置されます。地域と学校、保護者の連携を強化する主要な仕組みがコミュニティースクールだと思います。コミュニティースクールとは、保護者や地域住民の意見を学校運営に直接反映できる学校運営協議会を設置した学校のことであり、地域とともにある学校づくりを実現するための仕組みです。教師を応援すべく、学力や体力、規範力、重大ないじめや不登校などの学校の諸問題を議論し、解決に向けて取り組みつつ、そして地域コーディネーターを中心に、子供たちのために通学路の安全や放課後の様々な学びの場、居場所づくりなどを実施していくものです。このことは文部科学省のホームページに詳細に書いてあり、文部科学省はこのコミュニティースクールの推進を各県に努力義務として通知しております。しかしながら、本県においては、小中学校のコミュニティースクール導入率は市町村によって大きく異なり、特に高校段階の導入率は高くはありません。  そこで、今後、本県におけるコミュニティースクールの推進にどのように取り組まれていくのか、教育長にお伺いします。  次に、コミュニティースクールと地域学校協働本部との連合体により多様な学びの場が提供されることは、多様なアプローチが考えられるワンヘルス教育との整合性が高いと思われます。ワンヘルスの多様な考え方と多様化を生徒の理解と成長を育む意味で、学校現場においてワンヘルス教育を推進していくことは非常に重要ではないでしょうか。地域資源を活用した多様な学びの場の提供を含め、コミュニティースクールには大きなメリットがあり、本県が進めるワンヘルス教育のさらなる充実にも資するものと考えます。  そこで、コミュニティースクールと地域学校協働本部の推進においてワンヘルス教育をどのように取り入れていくのか、教育長にお伺いします、  以上で私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) 24 ◯副議長(井上 博隆君) 吉田教育長。
    *教育長答弁 25 ◯教育長(吉田 法稔君)登壇 命の大切さを育む取組についてでございます。命は身近にあるものの、その存在を確かめることは難しく、生きていることのすばらしさを感じることも、また難しいものであります。だからこそ、学校教育を通して、いま一度、教師と児童生徒が一緒に考え、自他の命の存在を見詰め、そのすばらしさを感じながら、命の貴さについての自覚を深めていくことが大切であると考えます。県教育委員会では、ワンヘルス推進行動計画に基づく事業の一つとして、小学校において、学校動物飼育のための支援事業を実施をしており、学校が獣医師に直接相談できる体制を整え、日常的に動物と触れ合うことにより、命を大切にする心の育成を支援をしているところでございます。今後とも、このような体験を伴った学習を、学校の教育活動全体を通じて進めてまいります。  コミュニティースクールの推進方策についてでございます。小中学校につきましては、全市町村での導入を目指し、県教育委員会において未導入の市町村や学校の担当者を対象としたコミュニティースクールの仕組みや導入の意義についての研修会を実施をしているところでございます。コミュニティースクールを導入した市町村等の割合は毎年着実に増加をし、本年五月現在で八四・八%となっておりまして、今後も全県的な浸透を促してまいります。県立高校につきましては、小中学校ほど地域との関係が密接ではなく、これまでコミュニティースクールの導入はございませんでしたが、学校と地域との連携、協働のための体制づくりに向けた支援を行ったことで、本年度中に四校に導入することといたしております。今後、この四校における成果を全校に周知をし、県立学校におけるコミュニティースクールの推進に取り組んでまいります。  コミュニティースクールとワンヘルス教育の関係についてでございます。コミュニティースクールの活発化により、地域と学校が連携、協働し、幅広い地域住民の参画を得て、地域全体で子供たちの成長を支える活動の充実を図ることができると考えております。その中で、環境問題を考えるフィールドワークや動物との触れ合いを通じた学習活動など、地域の資源を活用しながら多様な教育活動を展開できるため、ワンヘルス教育の充実にも資するものと認識をいたしております。県教育委員会としましては、こうしたワンヘルスを推進する活動など多様な教育活動を充実させるコミュニティースクールを積極的に推進をしてまいります。 26 ◯副議長(井上 博隆君) 佐々木允君。(拍手) *佐々木(允)議員質問 27 ◯二十四番(佐々木 允君)登壇 民主県政県議団、田川市選出の佐々木允です。通告に従い、八木山バイパスの渋滞対策について質問をいたします。  本路線は、筑豊地域、そして福岡地域を結ぶ大動脈でありまして、筑豊横断道路の一角をなす路線です。しかし、二〇一四年十月に無料化されて以降、交通量が大幅に増大しており、それらの解消を目的に、八木山バイパス四車線化整備促進福岡県議会議員連盟が二〇一六年十二月に発足、藏内勇夫議連顧問、吉村敏男議連会長の下、私も役員として同行し、国へ要望活動を重ねてまいりました。その結果、現在四車線化工事が進んでおり、特に筑穂トンネルにおいてはトンネルの貫通が完了をしております。道路を通るたびに工事の進捗を確認でき、通行者にとっては早期供用を大いに期待していることだと思います。  しかし、八木山バイパスは渋滞多発路線として筑豊地域の多くの人が認知をされている状況です。具体的には、平日はほぼ毎日、朝七時前には福岡方面に向かう路線で渋滞が始まります。また、飯塚方面へ向かう路線もその後渋滞をいたします。また、西鉄バスの方々にお話を聞くと、毎日の渋滞で定時性に極めて支障を来しており、通勤、通学者からはクレームも多く、利用減にもつながりかねないということで、厳しい状況を一刻も早く解消してほしいという声もいただいているところであります。  私の地元田川市の皆様はもとより、通勤、通学、物流等で日々利用する多くの皆様にとっては、この深刻な渋滞状況を現状においても少しでも軽減できるよう、でき得る限りの取組を望んでいる状況です。確かに、八木山バイパスは国の管轄であるのは理解をしていますが、これまで県議会、県とも本路線については様々な関わりがあること、極めて深刻な渋滞状況はもはや看過できるものではないという観点からも、県民の声をしっかり知事として受け止め、国へ必要な対策を強く要望し、協議していただくことを望む立場から、以下、質問をいたします。  一点目に、現在の八木山バイパスにおいては、無料化前より通行車両の交通量が明らかに増加し、渋滞や事故に伴う交通規制の状況は悪化していると実感しています。そこで、交通量については無料化前に比べどのようになっているのか、また通行規制の発生状況も含めてお示しいただき、併せて現在の発生状況について知事はどのように認識をしているのかお聞きをいたします。  二点目に、現在、渋滞緩和のため国が進めている四車線化事業については、早期かつ確実な整備のため、直轄事業と有料道路事業を組み合わせた整備方式、いわゆる合併施行方式により二〇一九年度から事業に着手をされました。その四車線化事業が着手されてから四年が経過しようとしているところですが、国はこれまで同路線の渋滞緩和に向けてどのような取組をされてきたのかお聞きをいたします。  三点目に、四車線化が完成するまでの渋滞対策についてお尋ねします。八木山バイパスは出入口が限られており、一度入ると他の道路への迂回ができず、渋滞時は長時間巻き込まれてしまいます。このようなリスクを軽減するためにも走行空間を確保する必要があり、四車線化を進めているわけではありますが、四車線化が完成するまでにはまだまだ長い期間を要すると聞いているところであります。特に、多くの通行者からは、現在の渋滞状況をバイパスに進入する前に教えてほしいという声を多くいただきます。そこで、四車線化が完成するまでの間においても、通行者が渋滞情報をバイパスに進入する前に的確に把握し、迂回等ができるように早急に対策を講ずるべきだと考えますが、四車線化が完成するまでの渋滞対策について知事の認識をお聞きいたします。  最後に、今後の県と国の一体的な対策についてお聞きします。県も構成員となっている福岡県交通渋滞対策協議会は、県内の交通渋滞の著しい箇所について総合的な交通渋滞対策を実施及び推進することを目的とする協議会であります。今後、この協議会において八木山バイパスの渋滞問題を県の課題として取り上げるなど積極的に取り組んでいただくとともに、同路線の渋滞対策については県と国が一体となって対策を協議していただきたいと思いますけれども、知事はどのように取り組むのかお伺いをいたします。  以上、答弁をよろしくお願いいたします。(拍手) 28 ◯副議長(井上 博隆君) 服部知事。 *知事答弁 29 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。  八木山バイパスにおける交通量と通行規制の発生状況についてでございます。八木山バイパスは、筑豊地域と福岡都市圏を結ぶ交通の大動脈でございます。その交通量は、無料化前の平成二十六年には一日当たり約一万三千台でありましたが、無料化を経まして令和三年度には約二万九千台になるなど倍増しておりまして、朝夕を中心に慢性的な渋滞が発生している状況でございます。事故等による通行規制の発生状況につきましては、平成二十七年度には三件、平成二十八年度には十三件、直近の数字でございます令和三年度は三十五件と、無料化後、大幅な増加傾向となっておりまして、円滑な交通の確保に支障を来しているものと認識をいたしております。  この八木山バイパスの渋滞緩和に向けて国はどのような取組をしてきたのかというお尋ねでございます。国は抜本的な渋滞対策といたしまして、令和元年度より四車線化事業に着手をいたしております。事業延長は十三・三キロございまして、篠栗インターチェンジから筑穂インターチェンジまでの五・六キロにつきましては令和六年度完成を、残る区間の七・七キロメートルにつきましては令和十一年度の完成を目指していると聞いております。また、国は、道路利用者が周辺の渋滞状況を把握できますよう、ライブカメラをバイパス区間に二十七か所、現道区間に二十三か所設置し、画像情報を平成二十九年十二月からインターネットで配信をいたしております。また、道路情報盤をバイパス入り口付近の篠栗町側に二か所、飯塚市側に七か所設置し、さらに国道二百号との交差点付近に二か所増設をいたしまして、平成三十年三月から通行規制情報を道路利用者へ提供いたしております。  四車線化が完成するまでの渋滞対策についてでございます。八木山バイパスは、出入口が限定をされておりまして、一度バイパスに入りますと、迂回することが困難でございます。さらに、現在の対策だけでは運転中にドライバーが必要な情報を把握することは容易ではありませんことから、渋滞を避けることが難しい状況でございます。このため、バイパスに入る前に的確に情報を把握できるような対策が早急に必要であると認識をいたしております。  この渋滞対策のための国への働きかけについてでございます。八木山バイパスの渋滞や通行規制の状況に鑑みまして、道路利用者への情報提供がより適切に行われますよう、国、県などの道路管理者、福岡県バス協会などの道路利用者、交通管理者でございます県警察などで構成されます福岡県交通渋滞対策協議会などで議論を深めてまいります。さらに、取組の実効性を高めますためにも、八木山バイパスの道路管理者でございます国に対し強く働きかけながら、国、県が一体となって検討を進めてまいります。 30 ◯副議長(井上 博隆君) 堀大助君。(拍手) *堀議員質問 31 ◯二十八番(堀 大助君)登壇 皆さん、こんにちは。緑友会の堀大助です。今回は、コロナ禍に苦しむ飲食店支援と、食品ロス削減の取組について伺います。  この年末も、新型コロナの第八波と世間で騒がれ、忘年会需要を期待していた飲食店には大きな打撃となっています。このような生活ももう三年になり、一説には外食をしないことが定着してしまった、外食需要は戻らないという悲観的な声さえ聞こえてきます。しかし、経営者にとっては店を開けるしかありません。  先日、ある飲食店経営者と話をしましたが、その中でも様々な困難を聞きました。お客さんが来ないつらさはもちろんですが、来客に備えて食材を用意するものの、来なければ最終的には廃棄せざるを得ない。逆に、用意していた以上にお客さんが来ても対応できないし、そうなれば次回からは選ばれない。非常にジレンマを感じているし、予測も困難で対応も難しいというお話が印象的でした。日常であれば、おおよその来店予測を立てて食材を用意できるけれども、コロナ禍においては読めないというのはもっともだと思います。その方は、せめて飛び込みでなく予約をしてもらえれば、万全でなくても対応のしようもあると述べられておりました。また、多めに準備して結果として廃棄処分になれば食品ロスが発生し、昨今のSDGsの取組に逆行することにもなります。飲食店の方にとってもつらく、意欲をそぐことになりかねません。できるだけ廃棄処分が出ないような取組を飲食店においても実施すべきです。  御存じのとおり、飲食店への支援についてはGoToイートキャンペーンがありますが、これは飛び込み、事前予約の区別なく利用できます。これはこれで飲食店にとって大きな支援ですが、さきに述べた予測が難しいという課題はクリアできません。私は、飲食店支援についてよりきめ細かく考えて、事前予約、例えばコースや一定の注文をすることについて割引など優遇措置を与えることで、より実効的な支援になり、食品ロス削減にもつながると考えます。これについては、今回のGoToイートに盛り込むことが難しいということは理解しておりますので、ぜひ今後、機会があれば御検討いただきたいと思います。  そこで今回は、飲食店支援の事業実施に当たり、経営安定のためにも、事前予約を促進するような取組が重要と考えますが、知事の御所見を伺います。  さらに関連して伺います。昨今、飲食店予約の無断キャンセルが社会問題になっています。経済産業省によれば、無断キャンセルによる被害額は年間約二千億円、一日から二日前のキャンセルまで含めると一・六兆円にも上ると言われています。当然、法律上は損害賠償請求ができるケースもあるわけですが、飲食店側は立場も弱く、泣き寝入りせざるを得ないことも多いようです。昨今のコロナ禍でさらに立場の弱くなった飲食店からすれば、損失を客に請求するハードルは相当高いと言わざるを得ません。今述べた民事上の責任に加え、刑事上の責任も問われかねない深刻な問題であるにもかかわらず、どうも軽く考えられがちな気がします。  根本的な対策は、当然、無断キャンセルを減らすことです。そのために一体何ができるのか。例えば、キャンセル料に関する規定を明確化し、客側に対し費用発生の可能性をしっかり認識させることで、キャンセルする場合でもロスが発生する前の段階でするように促すことも一つです。他方で、一部前払い制を導入するとか、航空券と同じように早い段階での予約に価格面でメリットを与えるなど、キャンセルしたくなくなるようにするのも一計かもしれません。これは先ほどの提案と同趣旨ですが、無断キャンセル削減対策としても活用できるかもしれません。さらに、それでも無断キャンセル自体をゼロにすることは難しいと思うので、この点に対するケアをどうするか。恐らく自主的に損害補償保険や弁護士保険に入られる方もいるかもしれませんが、食品ロスを減らす取組として何かできないのでしょうか。御存じのとおり、食品ロスの約半分は家庭でなく事業系のものですし、その約三分の一を外食産業が占めています。食品ロス削減には、外食産業での削減が欠かせません。  そこで伺います。無断キャンセルにより食品ロスが発生するという問題についてどのように認識しているのかお聞かせください。  また、無断キャンセルによる食品ロスの発生を防ぐには、広く県民に働きかけを行うべきと思いますが、最後にこの点について質問し、質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 32 ◯副議長(井上 博隆君) 服部知事。 *知事答弁 33 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。  福岡県版GoToイートキャンペーンにおける事前予約の促進についてお尋ねがございました。県では、今回のこの十二月議会におきまして、プレミアムつき食事券の発行事業の補正予算をお願いしておりまして、厳しい経営環境にある飲食店の売上げ回復を強力に支援したいと考えております。事前予約は、来客数を事前に把握でき、食材の仕入れの予測が可能になりますことに加え、従業員のシフト配置を適切に行うことができますため、飲食店の効率的な運営につながるものと考えます。このため、事業の実施に当たりまして、公式ホームページやポスター、SNSなどによる広報を行います際には、飲食店を応援するためにも、事前予約をできるだけ行っていただきますよう呼びかけてまいります。  次に、無断キャンセルによる食品ロスの発生についてでございます。飲食店での宴会等の予約が無断キャンセルされました場合、飲食店に経営上の損失が発生するだけではなく、準備した料理や食材につきましては廃棄される場合も多く、食品ロス削減の観点からも問題があると認識をいたしております。無断キャンセルをなくしていくには、消費者である県民の皆様に、無断キャンセルは食品ロスの発生につながることから、キャンセルする場合はできるだけ早期に飲食店に御連絡いただくことを改めて理解し、認識していただくことが重要でございます。これから年末年始を控えまして、飲食店を利用する機会が増えますことから、キャンセルの場合は早めに連絡いただくことなどを、食品ロス削減の啓発に併せSNS等の県の広報媒体により県民の皆様に呼びかけますとともに、予約に当たって利用することの多い飲食店のホームページでありますとか予約サイトにも同様のことを掲載いただきますよう、業界団体に働きかけてまいります。 34 ◯副議長(井上 博隆君) 中牟田伸二君。(拍手) *中牟田議員質問 35 ◯四十八番(中牟田 伸二君)登壇 皆さん、こんにちは。自民党県議団の中牟田伸二でございます。通告に従いまして一般質問をいたします。分譲マンションの管理適正化に向けた取組について質問いたします。  我が地元の春日市は、今年市制五十周年を迎えております。お隣の大野城市、そして筑紫野市、小郡市、行橋市、五十年を迎えたわけでございますが、ちょうどその五十年前、相前後して、我が春日市では分譲マンションの建設ラッシュが始まり、当時の人口の三倍以上になっております。現在では約二百棟ものマンションが立地しており、県内市町村で、福岡市、北九州市、久留米市に次いで四番目の数となっています。また、近年でも新規着工が続いていることから、マンション数は今後も増加していくことが見込まれます。マンションの適正管理の問題については大いに関心を寄せているところであります。県全体においても、令和三年度末におけるマンションストック数は約三十七万戸、そのうち築四十年以上のマンションストック数は約一二%の四万六千戸あり、二十年後にはその五倍以上となる二十四万四千戸になると見られています。マンションの老朽化や管理に関する課題は、今後さらに顕著化していくことが予想されるわけであります。  マンションが老朽化してしまうと、外壁の剥落など、そういうことによって居住者の方のみならず近隣の住民の方まで危害を及ぼす可能性があるわけであります。老朽化を防ぐためには計画的な管理と適切な維持、修繕が欠かせないわけでありますが、区分所有者の合意形成の難しさなどもあったり、様々な課題があると聞いております。  そのような中、令和二年六月にはマンション管理適正化法が改正されました。マンション標準管理規約の改正や、国のマンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針が示され、管理計画の認定制度がスタートするなど、マンション管理の適正化に向けた様々な動きが加速しているところであります。築年数の経過したマンションが増加していく中、県においても、それぞれの地域やマンションの実情に合わせて管理適正化に向けた取組を行っていく必要があると思います。  そこでまず、マンション管理の適正化に向けて、県ではどのような取組を行っているのかをお聞かせください。  また、県では今年度、マンション管理適正化推進計画の策定に向けて、分譲マンションの管理の実態調査を行うというふうに聞いておりますけれども、その状況についてもお聞かせください。  加えて、先ほど触れましたマンション管理適正化法では、市の区域においては市が、町村の区域においては県が管理適正化の推進を担うと定められております。マンションが多く立地するのは市の区域です。それぞれの市の取組は非常に重要になりますけれども、県全体のマンション管理適正化を目指すためには、県から市に対してマンションの適正管理についての取組を促すべきであると思います。  そこで最後に、各市に対しても、県は今後どのような適切な取組を行っていくのかお聞かせいただきたいと思います。  以上で一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 36 ◯副議長(井上 博隆君) 服部知事。 *知事答弁 37 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。  分譲マンション管理の適正化に向けた県の取組についてお尋ねがございました。これまで県では、管理組合の運営方法や適切な維持管理などについて記載いたしましたマンション管理の手引きを作成をいたしまして、管理組合などに配付いたしますとともに、広く県民の皆様に利用していただきますよう、県や関係団体のホームページにも掲載をしているところでございます。また、福岡市や関係団体と連携して管理組合向けのセミナーを実施し、マンション管理に関する様々な情報提供を行っております。  一昨年六月に、マンションの老朽化を抑制し、維持管理の適正化を推進するため、マンション管理適正化法が改正をされ、今年四月に施行されました。これを受けまして、県におきましても今年度から、福岡県マンション管理適正化推進計画の策定に着手をいたしました。また、管理組合を対象としましたマンション管理に関する相談窓口を福岡県建築住宅センターに設置いたしましたほか、管理規約の見直しや大規模修繕の手順などに悩みます管理組合に助言を行いますマンション管理士を無料で派遣するなどの取組を始めたところでございます。  次に、分譲マンションの管理の実態調査についてでございます。県では、この計画の策定に向けまして、今年七月から八月にかけ、既に調査済みの政令市を除く県内の分譲マンション管理組合に対し、管理状況に関するアンケート調査を実施いたしました。約二百件の回答を得たところでございます。その主な結果を申しますと、例えば今後の管理組合の運営において必要だと思うことの問いには、約六割の組合が、区分所有者の管理への関心が必要であると回答されました。管理組合運営について将来不安なことの問いには、約六割の組合が、区分所有者の高齢化と回答をされました。さらに、修繕積立金が適切に積み立てられているかとの問いには、約半数の組合から、将来的に修繕積立金が不足する可能性があるとの回答がございました。このような調査結果を基に、今年度設置をいたしました、学識経験者やマンション管理団体等で構成いたします検討委員会におきまして、マンション管理の適正化を推進するための今後の施策等について検討を行っているところでございます。  次に、市に対する県の今後の取組についてお尋ねがございました。マンション管理適正化法では、市の区域においては市が、町村の区域においては県が、マンション管理の適正化を図るための計画を作成することができるとされております。市は、この計画を作成いたしますことで、管理が不十分な管理組合に対し助言、指導、勧告をより的確に行うことができるようになります。また、適正な管理を行っているマンションの管理計画の認定を行うことが可能となりまして、認定したマンションを公表いたしますことで、管理組合の運営状況や資金計画などが適切であると評価されたマンションとして、市場価値の向上につなげることができます。県といたしましては、市が円滑に計画を作成できるよう、実態把握の方法や計画作成の手順などについてのガイドラインを作成するなど、市の取組を支援してまいります。 38 ◯副議長(井上 博隆君) 渡辺美穂君。(拍手) *渡辺(美)議員質問 39 ◯二十六番(渡辺 美穂君)登壇 民主県政クラブ県議団の渡辺美穂です。通告に従い質問いたします。  先日、県内に住む精神疾患を患った外国籍の方が、郵便局の窓口でお客様が大勢おられる中、長時間待たされ、順番が来ても御自身の意思が伝わらないことから感情的になり、対応していた周囲の方の日本語が理解できずパニックになって失神し、救急車で搬送されたという事案が起こりました。また、我が会派で若年性認知症の研修をした際、本県に千五百人ほどおられる、見た目で分かりづらい若い認知症患者が、スーパーなどでお金を支払うことを忘れて出ていってしまい、万引きと間違えられるケースが多いことも知りました。           〔井上副議長退席 桐明議長着席〕  現在、我が国では、障がい者の中でも見た目では分かりづらい精神障がい者の人数は増え続け、二〇一八年の三百九十二万人から二〇二〇年の四百十九万人、また外国人の人口は二〇一三年の二百三十万人から二〇二一年の二百七十万人と増加しており、本県も同様に、今後もその傾向は続くことが予想されます。これらのことから、見た目で分かりづらい障がいがある方、外国籍の方への地域での対応について、より具体的に考える時期に来ているのではないかと考えます。  そこでまず、障がいがある方への対応について知事にお聞きします。二〇一六年、障害者差別解消法の中に合理的配慮が明記され六年が経過しました。さらに二〇二一年の同法改正により、民間事業者による合理的配慮の提供が義務化される規定が盛り込まれました。この改正法は二〇二四年六月までに施行予定であるため、今後より一層の啓発が必要になると考えます。  このような中、県では、場面に応じて合理的配慮を行うためのガイドブックをはじめ、動画やリーフレットを作成されています。これらの動画やガイドブックの内容を拝見すると、障がい特性の説明や何に困っているかを伝えられない方への対応など具体例を挙げて説明をされています。また、様々な場面に応じて合理的な配慮を行うためには、思い込みで行動せず、障がいのある方とのコミュニケーションを取って対応することの大切さが示されています。私は、市町村や郵便局などを含む接客業務に関わる人々が、例えば精神障がいや知的障がいの方々にとって、人が多い場所で長時間待たされることは大きな苦痛を伴うこと、何かの原因でパニックを起こされた場合、ゆっくり寄り添う必要があることなど、障がいの特性について若干でも知識を持つことで、それぞれの障がいに応じた合理的配慮を行うことが容易になると考えます。  そこで、市町村や郵便局などを含む窓口業務に関わる方に対して、県の動画などを活用し、研修を進めていく必要があると考えますが、まず知事のお考えをお聞かせください。  また、現状ではこのような対応が浸透しているとは言い切れず、外見から分かりづらい精神や知的障がいは、その方が自己申告しない限り配慮に至らない場合が多いのではないでしょうか。そのためにも、御自身が障がい等により配慮が必要であることを示すヘルプマークは重要な役割を担っていると言えます。広く浸透してほしいと願っていますが、これまでの配付実績及び今後の取組についてお示しください。  また、ヘルプマークは県と市の窓口で原則一人一個の配付と聞いています。紛失した場合やどうしても複数個欲しいという方から申出があった場合には、柔軟に対応できているのでしょうか。その取扱いについて市町村によって違いはないのか、配付の取扱いについても併せてお答えください。  障がいのある方の合理的配慮を進めるためには、県民の方々への周知も必要です。そのためには国が進める認知症サポーター育成の仕組みを活用することも一つの方法ではないかと思っています。認知症サポーター研修は市町村及び県において行われ、現在その数は県内で五十万人を超えており、地域においての認知症の方々の生活支援を行っておられます。私は、認知症サポーターの対応は精神障がいのある方に対しても有効であると感じています。  そこでお伺いします。先ほどお聞きしたヘルプマークは、若年性認知症を含む認知症の方も対象になっているのでしょうか。対象になっているのであれば、認知症サポーターに対してもこのことを周知すると、障がいのある方への適切な対応につながっていくのではないでしょうか。高齢者支援の課と障がい者支援の課など所管を超えて事業を連携することによって、より高い成果が見込まれると考えますので、ぜひ御検討いただきたいと思いますが、知事のお考えをお聞かせください。  最後に、地域における外国人へのサポートについてです。今回の事案の発端は、窓口でのコミュニケーションがうまく取れなかったことによるものです。最近は易しい日本語という言葉とともに、公共団体などにおいてそれが活用され始めています。この易しい日本語とは、例えば、至急お越しくださいは、急いで来てくださいと平易な言葉でゆっくり話すことです。しかし、その普及は緒に就いたばかりです。一方、外国人の人口は今後増加することは間違いないところです。地域における易しい日本語による外国人とのコミュニケーションの大切さは議会でも指摘されています。  そこでまず、県の取組の現状と課題についてお示しいただいた上で、郵便局の窓口など外国人の方が多く利用される民間を含む各機関においても易しい日本語の活用は重要と考えますが、県としてどのように取り組むのかお聞かせください。  本日十二月九日は障がい者の日です。知事の前向きな答弁をお願いして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 40 ◯議長(桐明 和久君) 服部知事。 *知事答弁 41 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。  共生社会の実現に向けまして、その研修に県の動画を活用することについてお尋ねがございました。県では、障がい者団体、事業者団体、行政機関等三十八の団体から構成されます障がい者差別解消支援地域協議会を設置をいたしまして、差別を解消するための取組に関する協議や情報交換などを行っているところでございます。今年一月、この協議会におきまして、県が作成いたしました合理的配慮の提供に関する動画につきまして、会員団体等への周知と職員研修での活用をお願いをしたところでございます。このほかにも県では、企業や団体が差別解消に向けた研修を行う際に講師を派遣する事業を実施しております。これらのことによりまして、今年度は市町村や民間企業等十八の団体約七百人の方に対し、動画を用いた研修を実施しております。今後は、郵便局や金融機関など窓口業務に関わる民間事業者においても研修に取り組むよう働きかけを行ってまいります。  次に、ヘルプマークの配付についてでございます。県や市町村では、一昨年度からヘルプマークの配付を始めております。県のホームページや広報番組のほか、市町村や障がい者団体などを通じ、周知、啓発に取り組んでまいりました。今年九月までに一万四百三十個を配付いたしましたが、さらに普及を図っていく必要があると認識をいたしております。必要とする方にヘルプマークの情報が届くよう、これまでの取組に加え、新たにSNSを活用して広く周知を図ってまいります。  このヘルプマークにつきましては、無償で配付をいたしておりますことから、一人一個の御利用をお願いしているところでございますが、紛失された場合には再配付を行っております。このほか、障がい特性から常時複数個を持っていないと安心できないという方や、紛失する不安を感じやすい方もおられましたので、その状況を確認した上で、追加配付を行いました。こうした事例や、その場合の柔軟な対応についても併せ、市町村に周知してまいります。  認知症サポーター育成事業との連携についてでございます。若年性認知症を含む認知症の方は、ヘルプマークの配付対象としております。このことを認知症サポーターの方に周知することは、認知症の方だけではなく、障がいのある方への援助や配慮につながると考えております。このため、県が実施する認知症サポーター養成研修において、紹介動画やチラシを活用してヘルプマークの周知を図ってまいります。併せて、市町村が実施する研修におきましても、同様の取扱いができるよう働きかけを行ってまいります。これらのことにより、外見からは分かりづらい障がいのある方が、住み慣れた地域で安心して生活できるよう環境づくりを進めてまいります。  易しい日本語の活用についてお尋ねがございました。本県に暮らす外国の方は、昨年末時点で約七万六千人となり、易しい日本語は、その方たちへ情報を伝える有効な手段でございますことから、県ではその活用を進めております。まず、県の外国人向けホームページでは、表示言語として易しい日本語を選択することができ、外国人向け相談窓口や医療、防災、就労など日常生活に必要な情報を掲載しております。また、新型コロナウイルス感染症に係る県からのお知らせを、易しい日本語で市町村及び領事館等の関係機関に提供いたしております。さらに、県が実施いたします外国人向けの防災訓練におきまして、易しい日本語を使って防災に係る基礎知識の講義を行っているところでございます。また、在住外国人が多い北九州市、福岡市、古賀市などの市町村におきましては、住民の方々が外国の方とコミュニケーションを円滑に行えるよう、易しい日本語を紹介するセミナーを開催するなど、その普及に取り組まれているところでございます。その一方で、まだ普及に取り組んでいない市町村もございますことから、また取り組んでいる市町村間でもその内容に差が生じておりますことから、こういったことが実情であるというふうに認識をいたしております。このため県では、市町村職員を対象といたしました易しい日本語研修を行っているところでございまして、今後も継続して市町村の積極的な取組を促してまいりたいと考えます。今後さらに、外国の方が多く利用する郵便局や金融機関、公共交通機関などにも活用の手引書、やさしい日本語ガイドラインをメールや文書を通じて周知を行いまして、その普及に努めてまいります。 42 ◯議長(桐明 和久君) 松尾嘉三君。(拍手) *松尾(嘉)議員質問 43 ◯四十四番(松尾 嘉三君)登壇 皆さん、こんにちは。自民党県議団の松尾嘉三でございます。今回の私の質問でございますが、令和二年の十二月議会でも質問させていただきました。再度、超小型モビリティーとコミュニティーバスの利便性向上について、知事並びに担当所管にお尋ねいたします。  現在、交通事故件数としては全体的に減りつつありますが、高齢ドライバーによります事故の割合は、本年が二三・二%と、依然としてワーストをキープしている状況でございます。それらの交通安全対策として、県や県警による交通事故多発地点での交差点改良工事や横断者滞留場所の横断防護柵の設置、歩行者と自動車の歩車分離信号機の新設等のハード面、また高齢者安全運転講習や各小中学校での歩行者、自転車交通安全教室などソフト面での様々な交通安全対策等が推進されている今日におきまして、それと同時に推進されておりますのが、高齢ドライバーに対する運転免許証自主返納の推進の動きでございます。  皆様も御承知のとおり、三年後の二〇二五年(令和七年)は、団塊の世代の方々が後期高齢者となられます。現在の人口比率、これは福岡県でございますが、一五・二%が、二〇二五年には八十六万一千七百八十八人となり、人口比率にして一七・一%にも増加する想定がなされており、まさに団塊の世代が一斉に後期高齢者になられる時代が目の前に迫ってきております。また、そのことは、同時に運転免許証の自主返納の増加にもつながっていくと思われますし、次に想定される問題は、その日常の足を奪われた高齢者の方々が、マイカーを運転され、利便性がよかったときの日常生活水準を、どうやって今後も維持させていくかが将来における最大の課題だと私は思っております。  以前にも述べさせていただきましたが、そんな社会の動きに協調され、運転免許証自主返納に御協力されました高齢者の方々からは、免許を自主返納したのはいいが家に籠もりがちになった、毎日通う病院に行くのにも時間がかかる、そして買物に行くのが不便になった、買物の運搬が大変だ、ストレスがたまる、公共交通で観光地へ行くにはかなりの時間がかかるようになった等々、今や社会や行政に対します一つの不満材料にもなっております。  そこで、小型モビリティーをはじめとする新たな移動サービスでありますが、この超小型モビリティーは、自動車よりもコンパクトで小回りが利き、電気自動車などEV仕様でできているものが多く、環境性能に優れた一人乗りから二人乗り程度の車両であり、地域住民の皆様の手軽な移動手段として期待されております。現在、この事業を活用したカーシェアリングサービスが全国各地で展開されております。この先駆的な超小型モビリティーのシェアリングについては、糸島市において、移動サービスの充実、地域活性化を目的とした、よかまちみらいプロジェクトの取組の一つとして、令和三年から実証実験が進められております。  そこで知事にお尋ねいたします。この糸島市で行われております、よかまちみらいプロジェクトでは、この超小型モビリティーのシェアリングサービス等の活用といった新たな移動サービスを提供しております。県もプロジェクトパートナーといたしまして参画しておられますが、これらの取組から得られた知見は、高齢者をはじめとした地域住民の皆様の移動手段を考えていく上でも極めて有用なものだと考えております。県は、今後、このよかまちみらいプロジェクトから得られた新たな移動サービスについての知見を、県内各地の交通課題の解決にどのように役立てていかれるおつもりなのか、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、コミュニティーバスの利便性向上についてお尋ねいたします。県民の皆様、特に高齢者、障がい者、妊産婦の方など社会的交通弱者の方々には、大変便利で最も身近な交通機関でありますこのコミュニティーバスでありますが、現在、県内では四十四市町で運行されており、日常生活に不可欠な移動手段として重要な役割を担っております。しかし、近年の人口減少に加え、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして公共交通機関の利用者が軒並み減少している中、コミュニティーバスの維持確保を図るためには、より一層の利便性を高め、利用を促進していく必要があります。  県が令和四年三月に策定した福岡県交通ビジョン二〇二二では、市町村域を越えたコミュニティーバスの運行等により、地域公共交通の利便性向上を図るとされております。我が町春日市近郊の筑紫地区では、各市がコミュニティーバスを運行しておりまして、それぞれの域内の移動手段は充実いたしておりますが、市域をまたぐ広域運行につきましては、春日市のコミュニティーバスがJR大野城駅に接続しているのみとなっております。  こうした中、春日市内及び大野城市内では、西鉄大牟田線連続立体交差事業により、今年八月に高架化が完了いたしました。また、令和八年度末までには春日原駅周辺整備事業が完了する計画となっております。春日市及び大野城市は、通勤、通学、通院、買物等におきましても市域を越えた住民の移動が活発でありまして、近隣市とともに一体的な生活域を形成しております。道路交通の円滑化や交通拠点の強化をもたらす今回の一連の整備事業を契機として、両市のコミュニティーバスの広域運行の取組が進むのではないかと私は期待しているところであります。  そこで知事にお尋ねいたします。コミュニティーバスの広域運行につきまして、現在、県内ではどのような状況であるのか。また、筑紫地区におけるコミュニティーバスの広域運行に向け、県としてはどのような取組を行っているのかお尋ねいたします。  次に、現在、福岡市東区照葉の町や宗像市の日の里団地で運行されておりますAIオンデマンド交通でありますが、時刻表がなく、利用者が乗りたいときにアプリや電話にて予約を行い、予約者の人数や各乗車場所、また行き先などをAIによる最適ルートにて運用することが可能で、利用者からは大変好評だと聞き及んでおります。私は、もしもこのAIを駆使したオンデマンド交通を地域のコミュニティーバスへと導入させることができるならば、まさに理想の地域コミュニティーバスへと進化させることができると思っております。  筑紫地区をはじめとするコミュニティーバスへのAIオンデマンド交通の導入に向け、県はどのような取組を行っているのか、知事にお尋ねいたします。(拍手) 44 ◯議長(桐明 和久君) 服部知事。 *知事答弁 45 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。  まず、超小型モビリティーについてでございます。超小型モビリティーのシェアリングサービスは、高齢者の皆様の利用も含め、買物や通院などの日常生活や観光地での周遊など、短距離を移動する手段として有効なものであると考えております。現在、県もプロジェクトパートナーとして参画をしております糸島半島でのよかまちみらいプロジェクトの取組の一つとして、昨年三月からトヨタ自動車の二人乗り超小型モビリティーのシェアリングサービスに係る実証実験が行われております。この中では、無償運行から有償運行への変更や、カーステーションの再配置を行うなど、実証方法の見直しや改善が順次行われているところでございまして、成果を得るまでにはもう少し時間を要します。今後、実証実験の成果が取りまとまり次第、その内容を把握し、その他の市町村にも情報提供を行ってまいります。  次に、コミュニティーバスの広域運行についてでございます。市町村域を越えて運行いたします県内のコミュニティーバスは、前回御質問がございました令和二年度以降、今年三月末までに、うきは市、小郡市、香春町において新たに路線が開設され、四十三路線となっております。また、筑紫地区につきましては、県と五市で公共交通に関する会議を毎年開催をしておりまして、この会議におきましてコミュニティーバスの広域運行と乗り継ぎ改善に関する課題や利用促進について協議を行いますとともに、広域運行に対する県の支援制度を御紹介しているところでございます。今年度は、西鉄春日原駅の周辺整備に伴います大野城市コミュニティーバスの同駅への乗り入れにつきまして情報共有や意見交換を行ったところでございます。
     コミュニティーバスへのAIオンデマンド交通の導入についてお尋ねがございました。AI等を活用したオンデマンド交通は、デジタル技術により運行の効率化と利便性の向上が図られる交通手段でございますため、県ではコミュニティーバスへの導入を支援しておりまして、市町村に対し優良事例を紹介する研修会、システム提供事業者とのマッチング機会の創出、導入費の助成などを行っているところでございます。現在、県内の九つの市町でAI等を活用したオンデマンド交通が導入されており、今後も導入拡大に向けて市町村に支援を行ってまいります。筑紫地区につきましては、先ほど申し上げました県と五市による会議において、広域での運行も含めたその導入について協議を行ってまいります。 46 ◯議長(桐明 和久君) 本日の一般質問はこれまでとし、残余は十二月十二日取り進めることといたします。  本日はこれをもって散会いたします。           午 後 二 時  二十分  散 会 Copyright © Fukuoka Prefecture All Rights Reserved. ↑ ページの先頭へ...